だいすん の かんげきdiary

宝塚歌劇ファン歴3年目の初心者ですが、観劇の感想や思い出などを、徒然と書いていきたいと思います

宙組公演 Shakespeare 観劇レポート ~宙に満つるは尽きせぬ感動~

お久しぶりでございます。


先日、宙組公演「Shakespeare」の2度目の観劇をして参りました。


2回目にして、ようやっと、この作品についての思いを言葉にできそうな気がします。


いつもまとまらない駄文ばかりを書いていますが、この作品については、特に感想がとりとめもなくなることが予想されます。


それくらい、感じるところ、考えさせられるところが、ストーリー上でも演出上でも多い作品で、非常に見応えある味わい深い作品だと思いました。



以下は、例によって、ネタバレ満載のレポートでございます。
ご容赦ください。
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「人生は劇場。人はみな役者」


シェイクスピアの妻、アン・ハサウェイの台詞です。


この作品は、ウィリアム・シェイクスピアという一人の男の人生を、喜劇も悲劇もある人生を、アンの台詞通り舞台の上に描き出していました。


主役の朝夏まなとさんは、もちろんシェイクスピアの役を演じていますが、それと同時に、ウィリアム・シェイクスピアという一人の人間として、人生という劇場に立ち、そこで劇作家という役割を演じていました。


言葉にすると、なんだかややこしいのですが、演者が演じている役も、また劇中でそれぞれの役割を生きている、というのが、この作品全体を通して強く感じられ、同時に、自分自身も人生という舞台で何の役割を演じているのだろうと、問いを投げかけられた感じがしました。


劇中、「お前の役はなんだ?」とウィリアムに投げかけられる台詞があるのですが、客席の私にも、この言葉は深く強く響きました。
しかもこの台詞、沙央くらまさんの力強いマイルドボイスによって発せられるので、響き具合もまたひとしおでした。



「人生の中で演じる役割」

このことに焦点を当てて、それぞれの役が劇中において演じている役割を考えながら観てみると、色々と感じるところがあって面白かったです。



物語全体のストーリーも、シェイクスピアがその人生の中で演じる役割の変遷と共に動いていきます。


青年期、シェイクスピアストラトフォードという片田舎の町で暮らしており、その時の彼の役割は、革手袋職人(になること)でした。
しかし彼は自分に生まれながらにして与えられたその役割には満足しきれず、劇作家という役割を勝ち得るために毎日詩作に明け暮れ、そしてひょんなことからパトロンの目に止まり、晴れてロンドンにて劇作家としてデビューすることになります。


劇作家として次々と名作を世に送り出し、名声をほしいままにしていたシェイクスピア
「この世のすべてを言葉に乗せて描きだす」という、劇作家としての役割意識を持っていた彼の言葉・台詞は、恐らくそれを聞く人々にとって「そういうことあるある!」「そういう気持ち感じたことあるなー」と非常な共感を呼ぶものだったと思われます。
人々はシェイクスピアの言葉を聞いて、自分が感じていながらも言葉にできずにいた思いを「俺が、私が言いたかったことってそれだったの!」と、ピタリと言い当てられた感覚を覚えたのかもしれません。だからこそ、人心を掌握でき、そして、いつしか政治的な利用価値を見出されることになったのかもしれません。


「書くために書いていた」シェイクスピアの言葉は、人々の心を癒やし、震わせ、悩ませ、微笑ませていましたが、次第に彼が「自分のため、富のため、名声のため」に言葉を綴り始めるようになると、彼の言葉は人々を惑わし、苦しませ、時に傷つける様相を呈するようになります。


劇作家の役割は「この世のすべてを言葉に乗せて描きだす」こと。「人心を惑わす」ために言葉を綴るのは劇作家の役目ではありませんでした。
そうして彼は、人生という劇場の中で自分が果たすべき役割を見失い、ついには、劇作家といういわゆる「オン」の役割だけでなく、アン・ハサウェイ、ハムネットの父親という「オフ」の役割をも見失っていきます。そして、人生という劇場で何の役を演ずるべきか分からなくなった時、彼は語るべき言葉を、発するべき台詞を見失ってしまいます……。




ここまでストーリーを追ってくると、なんだかとてもシリアスで悲劇的な要素も強い作品のような感じがしますが、冒頭でも書いたように、この作品はシェイクスピアという一人の男の人生を描き出した作品です。

人生色々と申しますが、大失恋してどん底の気分の日もあったかと思えば、友達と美味しいごはんを食べれて、宝塚を観れて気分上々の日もあるように、人生は、悲劇にも喜劇にも満ち溢れた色々な日々で彩られています。

ですので、この作品も、失意のどん底に沈むシェイクスピアを描いたかと思えば、次の瞬間にはクスッと笑えるコミカルな笑いの要素を盛り込んだりと、シリアスとコミカルが絶妙のバランスで混ぜ込まれたストーリーとなっており、まさに文字通り、泣いたり笑ったりできる作品となっています。

観れば観るほど、新たな発見・捉え方・感動をできる作品であるように感じました。

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本当にここまでとりとめのない感想文を書いてしまって恐縮です。
私もシェイクスピアのように、自分の感想を的確に言葉にできる人間になりたい…!それがブログを書いている人間としての役割であるような気が致します…。
これからも精進を重ね、脱・悪文を目指して頑張りたいと思います。
ここまでお目通しくださった皆様、ありがとうございました。



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