だいすん の かんげきdiary

宝塚歌劇ファン歴3年目の初心者ですが、観劇の感想や思い出などを、徒然と書いていきたいと思います

花組公演 新源氏物語〜スーパーサブ惟光〜

昨日、本屋さんに立ち寄ると、田辺聖子さん著の「新源氏物語」の文庫本に、『宝塚で舞台化!』という文字と、明日海りおさん花乃まりあさんの麗しいお顔が印刷された帯が巻かれていました。

その帯欲しさに、思わず文庫本を買いそうになってしまいました、だいすんでございます。

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そんなわけで、
今日は久しぶりに、新源氏物語の登場人物についての、独断と偏見まみれの復習・考察レポートを書きたいと思います。

今日取り上げるのは、芹香斗亜さん演じる惟光です。

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惟光はすごい男です。

源氏物語の登場人物の中で「彼氏・夫にしたい男性ランキング」をつけるとしたら、光源氏や頭の中将を抜かして断トツの1位に輝くのではないかと思うくらい、すごい男です。

もちろん、家柄は光源氏や頭の中将よりは劣りますし、下級貴族ではないけれども、家柄的にもそこまでの立身出世は望めません。金銭的な面でも、苦労こそしないものの光源氏や頭の中将ほどには裕福ではないでしょう。


では、そんな惟光の何がすごいのか?

『宝塚GRAPH 11月号』で北翔海莉さん星組の皆さんを四字熟語で表していらっしゃったのにあやかって、私も、3つの四字熟語で惟光のすごさを表してみたいと思います。

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沈着大胆

  • 物事に動じない腹のすわった性格のこと。落ち着いていて、しかも度胸があるさま。

まず、惟光は沈着大胆であると言えます。
北山で光源氏が「若紫を連れて帰る!」と言い出した時も、普通の人なら「えっ!まじで!それって誘拐っていうんじゃ……」などとアワアワしてしまうところですが、惟光は違いました。
内心「いくらなんでも誘拐はなぁ…」とか「本当にいいのかなぁ」とか後ろめたさを感じていたかもしれませんが、光源氏の前ではそれをおくびにも出さず、尼君に気づかれないようにそぉーっと、ヨイショっと若紫をおんぶして連れ帰ってしまいます(ちなみに、芹香さんが若紫役の春妃うららさんをおんぶするシーンは、今公演随一の萌えポイントです!)


今回の舞台の中では描かれていませんが、源氏物語には惟光の沈着大胆さをよく物語るエピソードが他にもあります。今回惟光がおんぶしたのは若紫ですが、実は惟光、死体も担いだことがあるのです……‼︎

「夕顔」という女性がいるのですが、ちょうど光源氏と一夜を明かしていたその夜に、六条御息所の生き霊に取り憑かれ命を落としてしまいます。そこで惟光は、「夜明けまでにどうにかしないと…!」と、夕顔の亡き骸を肩に担ぎ、丑三つ時の京の町を郊外まで走っていったのです…。

誘拐まがいに遺体処理と、なんだか壮絶な状況ばかりですが、いついかなる状況でも冷静かつ大胆に対応できる惟光、すごいです。

臨機応変

  • 時と場合に応じた柔軟な対応ができること。

惟光は、光源氏の従者です。従者の重要な任務の一つに、主人と女性との仲立ちをすることがあげられます。恋文のやり取りだったり、女性の家の召使い達と今夜の逢いびきの段取りをしたりと、主人の恋愛を成就させるために従者の働きは不可欠でした。
光源氏が数多くの女性と恋愛関係を結べたのは、もちらん彼自身の魅力もあったでしょうが、時と場合に応じて臨機応変に仲立ちをし、2人の仲をとりもった惟光の活躍もあったでしょう。

遠慮会釈

  • 人に対して控えめにしたり、気持ちを想いやったりできること。

当代随一の貴公子・光源氏の乳兄弟であり、腹心の部下でもある惟光。大スターの幼馴染かつ付き人的な立ち位置にいた彼ですが、だからといってその立場を鼻に掛けることもなく、亡き骸を背負わされても、若紫の誘拐を手伝わされても、遠い須磨の地に付き従っても、彼は決して光源氏の側近くに仕えつづけました。そこには恐らく、光源氏に対する厚い思慕の情があったことと思われます。
実務的な面でテキパキと立ち回れるだけでなく、情緒的な面でも光源氏を支え続けた惟光。すごいです。


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光源氏や頭の中将、夕霧や柏木などと違い、源氏物語のなかで惟光の物語はメインストーリーには絡んできません。

しかし、物語の陰の立役者としてメインストーリーを支えてきたのは、間違いなく惟光のような従者の存在です。
そんな従者の中でも、沈着大胆で臨機応変で遠慮会釈な惟光は、まさに従者オブ従者、スーパーサブ的な存在だったと思われます。


思えば惟光を演じる芹香斗亜さんも、過ぎし『Ernest in Love』の千秋楽挨拶では、お洒落な気の利いた言い回しを明日海りおさんにそっと教えていらっしゃいました。

惟光について書いているうちに、なんだか惟光と芹香さんの姿が重なって見えるような、そんな感覚を覚えました。

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かなり長い考察になってしまいました。
ここまで目を通してくださった方々に、お礼申し上げます。ありがとうございました。

明日は、「踊れ!GOLDEN JAZZ!ミニタンバリンの行方」というタイトルで、果たして私は月組公演で踊らねばならないのかと危惧する気持ちについて書こうと思います。



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