だいすん の かんげきdiary

宝塚歌劇ファン歴3年目の初心者ですが、観劇の感想や思い出などを、徒然と書いていきたいと思います

花組公演 新源氏物語~藤壺の憂鬱~

久しぶりに、2008年星組公演「スカーレットピンパーネル」を観返していました。
冒頭、「1794 PRRIS」の文字を見た瞬間、「フランス革命から5年後ね」と分かることができたのは、確実に月組公演「1789」のおかげですね。宝塚にハマると、日に日にヨーロッパの歴史に詳しくなっていけるって本当ですね。楽しく学べる…なんとも嬉しいことです。


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さて、来月の「新源氏物語」再観劇に備えて、個人的に各登場人物について復習しがてら、ブログ記事としようかと思います。
登場人物が沢山出てきて人間模様も複雑なお話ですので、これから観に行くという方がもし読んで下さっていたら、予習のようなものに少しでもなれれば嬉しいです(思いっきりネタバレにはなってしまいますが…)。


今日は、花乃まりあさん演じる藤壺について、独断と偏見を交えて復習しようと思います。

藤壺は、光源氏の父、桐壷の帝の奥さんです。
光源氏の母である桐壷の更衣の死後、悲嘆にくれる桐壷の帝の様子に危機感を覚えた臣下たちが、「桐壷の更衣に激似!」ということで宮中入りし、桐壷の帝の妻となりました。

桐壷の更衣にそっくりな藤壺に対して、桐壷の帝はかつて桐壷の更衣に向けていたのと同様に寵愛をそそぎました。
劇中、常にプリプリと怒っていた弘徽殿の女御。当然、憎たらしく感じていた桐壷の更衣そっくりな藤壺のことも、気に入りません。
しかし、藤壺は桐壷の更衣と違って後見人である父親も身分が高く、宮中での女性の身分も弘徽殿と同じ「女御」という位だったため、うかつに手出しはできず、歯がゆく眺めることしかできませんでした。


劇中では、六条御息所も紫の上も「光源氏は私を通して別の誰か(=藤壺)を見ている」と思っています。
誰かの代理として愛されることほど、切ないことはありません。
もちろん、光源氏は色男ながら一度愛した女性をないがしろにするような性格ではないと思われますし、各女性に向けた愛情も、光源氏的には嘘偽りないものだったと思われます。
しかし、やはり光源氏の心の奥に根付く藤壺への恋慕の情は隠しきれるものではなく、六条御息所や紫の上は、光源氏から愛されれば愛されるほど、自分以外の誰かに向けられた情熱の気持ちを感じ取ってしまったのでしょう。


そんな風に光源氏から愛された藤壺ですが、私は、恐らく藤壺も、六条御息所や紫の上が感じたのをと同じような気持ちを、桐壷の帝に対して感じていたものと思われます。つまり、桐壷の帝は、藤壺を通して桐壷の更衣を見ていた、ということです。
帝の寵愛を受け、中宮という女性最高位の位を授かるなど、女性としてこれ以上望むべくもない地位と名誉を手に入れた藤壺
はためかたら見れば、栄華を極めたとても幸せな女性のように感じられますが、おそらく藤壺の胸中にはどこか満たされない思いが、自分が受けている愛情は本来自分に向けられたものではなく、自分以外の誰かに対して向けられたものだろうという思いが去来していたことでしょう。

しかも、六条御息所や紫の上は、光源氏の思いが「この人に向いているだろう」という確信はあまり持てなかったと考えられますが、藤壺の場合は、帝が自分を通して桐壷の更衣に向いているということは、自分が宮中に入った経緯からも明確に感じ取っていたことと思われます。
「愛の言葉も、ぬくもりに溢れる目も、桐壷の更衣に対して向けることができたらと、帝はきっと心のどこかで感じていらっしゃるだろう…」と思いながら寵愛を受けていたとしたら、これほど悲痛なことはありません。

そんな藤壺ですから、ただひたすらに自分そのものに愛情を向けてくれる光源氏の存在を、どれほど嬉しく感じられたことでしょう。
帝の妃にさえなっていなければ、身分的にも十分に光源氏の妻になれる可能性のあった藤壺
帝の思いが真の意味で自分に向けられたものではないと藤壺が感じていたとしたら、自分を愛してくれる光源氏の胸にどれほど飛び込んでいきたかったことでしょう。


……そんなことを考えながら、光源氏藤壺の逢瀬の場面を見ると、なんとも言えず胸が詰まりました。藤壺の「嬉しい…!!」という決して声に出せない心の叫びが、花乃まりあさん演じる藤壺から伝わってくるようでした。

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三連休は、スカイ・ステージで撮りためたDVDを整理しながら、時間があれば「あさきゆめみし」とか読み返してみたいなーと思っています。

源氏物語の概要について把握するために、個人的にオススメの本は、『大掴源氏物語 まろ、ん?』(幻冬舎)です。www.amazon.co.jp
光源氏が栗なのですが、4コママンガ調にストーリーがまとめられていてとても面白く分かりやすいです。
また、当事の風習等についてのわかり易い解説も、ちょくちょく記載されているので勉強になります。
ただ、光源氏は栗、頭の中将は豆です。(どういうことか気になる方は、ぜひ画像検索などしてみてください)


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