だいすん の かんげきdiary

宝塚歌劇ファン歴3年目の初心者ですが、観劇の感想や思い出などを、徒然と書いていきたいと思います

花組公演 『新源氏物語』〜光源氏のアタマノナカ〜

明日海りおさん光源氏の美しさが話題の大劇場公演「新源氏物語」。

前に書いた観劇レポートでは、柚香光さん演じる六条御息所についてモリモリ書いておりましたので、今回は主役・光源氏に焦点を当てて、独断と偏見に満ちた観劇レポート〜その2〜を記したいと思います!

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従来の宝塚の作品では、主人公は一途に一人の人を思い続けることが多いですが、この新源氏物語は、光源氏があの人この人と色恋沙汰を繰り広げていきながらストーリーが進んでいきます。


今回の花組公演の1時間半と少しの間だけでも、藤壺六条御息所・葵の上・紫の上・朧月夜・女三の宮…と、6人の女性と恋に落ちます。

演出の都合上、かなりスピーディーにことが進んでいくので、ほんとに手当たり次第に浮名を流しているように見える光源氏
美貌も地位も名誉も尊敬もあり、自分のことを愛してくれる沢山の女性がいて、これ以上望むべくものもない彼が何故これ程までに女性に焦がれ求め続けるのか…。


劇中でも、その理由は随所で間接的に述べられていました。その理由とは「父の妻である藤壺への許されない恋心」。光源氏は、紫の上や朧月夜、六条御息所のどこかに藤壺の面影を感じて恋に落ち、面影がある故に愛するのだ、という理由です。作中、何人かの登場人物も「私を通して別の誰かを見ている」といったような発言をしています。


このように、作中では、藤壺こそ光源氏の理想の女性だとして描き出されていますが、私は藤壺の更にその背景に、もう一人の女性の存在があるように思っています。

それは、光源氏の実のお母さん・桐壺の更衣です。

作中でもチラッと触れられていましたが、光源氏の実母である桐壺の更衣は、身分も余り高くない上に後見人もいないまま宮中入りしたのですが、その美しさから桐壺の帝の寵愛を受けたために弘徽殿の女御の怒りを買い、数々の嫌がらせを受け、光源氏を産んで数年してから心労がたたって亡くなってしまいます。

最愛の女性を亡くした桐壺の帝は、仕事も手につかない有様。桐壺の更衣の面影を残す光源氏と遊んでは心を慰める日々を過ごしていました。それに危機感を覚えた臣下達が「桐壺の更衣に激似だよ!」と見出してきた女性こそが、藤壺の女御だったのです。


1,2歳の幼い頃に母を亡くした光源氏。まだ物心はついていなくても、母との愛着はしっかりと育っている年頃です。更に、当時は死は穢(けがれ)と認識されており、特に幼い子ども等は穢に触れないよう、臨終の場からも遠ざけられていたと思います。
人生の最初期に、母を永遠に失ってしまった光源氏。母の死を間近に感じることもできず、最期のぬくもりさえ感じられないまま、ただ「母はもういない。会えない」といった事実を突きつけられた1,2歳の彼にとって、おぼろげに霞む記憶の中の恋しい母の面影は、成長し大人になってからも、楽しかった母との日々を思い出せる大切な宝物であったことでしょう。

父の妻を愛したという背徳感も、光源氏藤壺への熱烈な愛情に寄与しているという考え方もできますが、こうした母の存在を背景に考えてみると、母の面影を感じられる藤壺の女御に強く恋い焦がれる気持ちは、まるで小さな子どもが母を求める自然な愛情や恋慕のようにも感じられます。

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というわけで、持たざるものはない完璧スーパー超人の光源氏も、どこかで癒えない悲しさや寂しさは背負っているんじゃなかろうか、という視点から、観劇レポートというか、光源氏考を書きつらねてみました。


次回の観劇の時は、こんな視点も交えながら観ようかなと思っていますが、たぶん恐らく絶対に明日海さんの美しさに圧倒されて過ぎる1時間半になる予感がいたします。


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