だいすん の かんげきdiary

宝塚歌劇ファン歴3年目の初心者ですが、観劇の感想や思い出などを、徒然と書いていきたいと思います

僕はバディロスが怖い〜月組公演観劇レポート〜

はやいもので、2018年の4分の1が過ぎましたね。
吹く風にも春のいぶきを感じる今日このごろ、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
だいすんでございます。


宝塚大劇場では月組の新人公演も終わり、本公演も残すところあとわずかとなりました。


公演が終わってしまわないうちに!
ショーの感想のつづきを書きたいと思います。
(※ 以降、ネタバレを含む記述がございます。ご留意ください。)

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美弥るりかさん

中性的な魅力、というものは、男役になくてはならないものの一つであると思います。
男なのか、女なのか、一見するとよく分からない。
分からないからこそ気になるし、そのグレーさに人は魅了されるのかもしれません。
美弥さんのSWEET HEARTを見て、そんなことを考えました。
ほんとにはまり役だと思います。


お衣装も、役柄に合わせてか、男役にしては少しタイトなしつらえであるように思いました。
だから、体の線が割とはっきりと見えて、美弥さんの持つ本来の色気がいかんなく発揮されていて、非常にけしからんし、最高でした。


個人的に大好きなのは、チマチマした悪事を重ねるBADDYにしびれを切らすソングの歌詞。

「♪~ 昨日 食い逃げ 今日は駐車違反 スケール小さすぎやしませんか」みたいな歌詞です。


なんか、山口百恵さんの歌のような、昭和の歌謡曲的な雰囲気のあることば選びなんですよね。
ちょっと凄みがあって、SWEET HEARTにひそむダークな雰囲気や「ただ者じゃない感」を感じさせるこの歌詞。
声にまで色香がほとばしる美弥さんに歌われるもんですから、ただただ発汗あるのみ!です。


次回作『エリザベート』では皇帝・フランツを演じる美弥さん。
果たしてモフモフのおひげは似合うのか。そもそも美弥さんならマザコンでも許せるのではないか。マダム・ヴォルフのコレクションも遠慮なく召し上がっちゃうんじゃなかろうか。
などなど、愚考はつきませんが、新たな大役に臨まれるのが早くも楽しみです。


月城かなとさん

たま様のBADDYが素直な悪い子だとしたら、月城さんのポッキー巡査は素直ないい子。
良家のおぼっちゃま的なキャラクターで、少年の心を持った青年といった人物です。
愛希れいかさん演じるGUDDYが大好きで、いつも彼女を陰に陽に見守っているその姿は、まさに誠実そのもの。


そんな誠実さが売りのポッキー巡査ですが、このショーの中では、誰よりも振り幅ひろく、善と悪を行き来します。
誠実さや真面目さが、時に脆さや滑稽さをはらんでいること。
真面目であるがゆえに、人一倍悩んだり苦しんだりすること。
そして、それらの苦しみを乗り越えたさきに、深みのある人間性が生み出されること。
そんなことを、このショーを通してポッキー巡査から感じました。


冒頭からコミカルなシーンが多く、あまりにも真っ直ぐすぎるその姿にちょっとした狂気も感じさせるポッキーさんですが、えげつないほど格好いい群舞のあとで、彼の苦悩の痕跡が明かされます。
ラストシーンで見せるその男らしさには、SWEET HEARTでなくとも魅了されざるを得ないでしょう。


月組に来てから、2作連続で客席に笑いを巻き起こす役柄を演じる月城さん。
今後、主演公演も控え、また『エリザベート』でルキーニを演じることが決まっています。
月組に来て、今後、ひと皮もふた皮もあらたな魅力を開花させていかれるであろう未来に、期待せずにはいられません。


その他、出演者のみなさま

ほんとうに書き切れないくらい、月組生の小芝居が充実していて、困ったもんです。


今公演での退団が決まっている宇月颯さんと早乙女わかばさんの悲恋模様も見どころです。
こうして、退団者にしっかりとした見せ場があり、それがまたごく自然に展開されているところに、演出家の深い愛を感じます。


暁千星さん演じる王子さまの葛藤も、経過を追って見ていると面白いです。
役柄はあざとさすら感じるくらいに可愛らしくて母性が臨界点を突破しそうになりますが、やっぱりありちゃんさん、ダンスがとてもうまいです。
芝居・ショーともにダンスの見せ場がたくさんあって、なんだか若手のころの柚希礼音さんが思い出されました。

歌唱力や演技の幅ともに、与えられた役割を通して着実に身につけてきている暁さん。
まだ新公内というのが衝撃ですが、これからも頑張っていってほしいと老婆心が騒ぎます。



だいぶ長々と書きましたが、最後にどうしても触れずにはいられない。
宇宙人輝月ゆうまさん。

衝撃のメイク。飛ぶように売れるスチール写真。異彩をはなつ劇場ロビーの写真。


でも、衝撃なのはメイクだけではありませんでした。
舞台に出ている間中、おそらく群舞以外の場面では、輝月さんの指はずっとピロピロと動きつづけています。
中詰めはもちろん、銀行舞踏会の場面でのびやかにオシャンな曲を歌いあげているその最中も、ずっとピロピロ。パレードもピロピロ。ずっとピロピロ。
オペラでピロピロを見ていたら、思わずこっちの手もピロピロしてきてしまうので注意が必要です。

どうか、東京公演の千秋楽まで腱鞘炎にならず、無事にピロピロをまっとうしていただきたいです。


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長くなりすぎてしまった感がありますが、こうして感想を書いてみてあらためて『上田久美子のショー作品』なんだと感じました。
一人一人の人物について考えれば考えるほど奥深く、シンプルなテーマだからこそ観る側に想像の余地が多分に残されている、そんな感じがします。

いつか1時間半のお芝居で、この『BADDY』の世界観を描き出してほしいとすら感じる作品でした。

もう今から東京千秋楽後の「バディロス」が怖くてたまりませんが、月組生のみなさんが日々あらたな完成を目指して邁進されることを楽しみにしたいと思います。


ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


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