だいすん の かんげきdiary

宝塚歌劇ファン歴3年目の初心者ですが、観劇の感想や思い出などを、徒然と書いていきたいと思います

星逢一夜 観劇レポートその② 境界線を越える時

10月に入って、すっかり秋も深まってきた感じがします。
日中と朝晩の気温差が10度近くあって、気を抜くと体調を崩してしまいそうですね。
先日の花組大劇場公演初日で、明日海りおさんが「秋なのに、(劇場は)熱い」的なほっこりご挨拶をしておられましたが、タカラジェンヌの皆さんこそ、入り出の際は寒くて、公演中は汗をかくほど暑いという、かなりの気温差の中で過ごしておられますよね。どうか体調に気をつけて公演を務めてくださればと願ってやみません。

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さて、星逢一夜では、前回の記事でも書いた「境界線」を越える瞬間が、いくつも設けられています。

この境界線を越える瞬間、物語は大きく動き出し、境界線を越えるにあたっての登場人物の心の動きが、観客の心に強く響いてきます。



例えば、一番分かりやすい場面でいくと『一揆』の場面。

武士よりも下の身分である農民が、武士に対して異議を申し立て要望を述べる。身分制度の厳格であった江戸時代では、こうした行為は(身)分不相応で、越権行為ともいえるべきものでした。
その不相応さを十分承知し、結果として獄門にくだることになることも覚悟の上で、まさに決死の覚悟を抱いて身分の境界線を越えようとした源太を始めとした農民たちの決意に、観劇中、大きく胸が震えました。

舞台では、セリを櫓(やぐら)に見立て、セリの上に紀之介ら武士を、セリの下に源太ら農民を配置してありました。視覚的にも身分の上下を強調してあり、また同時に「かつては一緒に星見櫓にのぼった紀之介と源太が、今では櫓の上と下とで対立している」という過去との対比も描かれているようで、なんとも言えずせつなく、やり切れない気持ちになりました。



その他にも、境界線を越える(越えようとする)場面には、以下のようなものがあったと思います。

  • 紀之介が三日月藩の跡取りとなる場面(「みそっかすの次男坊」から「嫡子」として、家の中での立場が変わる)
  • 下級武士だった紀之介が、並み居る武士を追い抜いて御用取次に任命される場面(武士の中での階級差という境界を越えた)
  • 泉と再会した場面(身分差があることを分かりながら、泉に思いを告げようとする場面 )


いずれも、物語の中で、その後の展開に大きく影響を与えたり、物語を動かしていくきっかけになる場面やエピソードだったような気がします。


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なんだか、いつにも増して、訳の分からない考察まがいの、別に観劇レポートでもなんでもない駄文を書き散らしてしまいました…。



次回の更新では、花組 宝塚大劇場公演『新源氏物語/Melodia-熱く美しき旋律-』の観劇記録を書きたいと思います。
はじめてのSS席での観劇…。ドキドキしすぎてまともに記憶しきれない予感がしますが、明日海りおさんが初日の挨拶で仰っていた、『情と熱、情熱』という今回の公演のテーマをしっかりと感じてきたいと思います。
なんといっても、明日海さんが「勝手に気づいて勝手にテーマにしたんです。みなさんの了承は得てないけど…」というなんとも可愛らしい弁明をしておられたこのテーマですのでね!

明日海さんの尊いまでの美しさに気圧されることも含めて、観劇が楽しみです。